▼定義
消化管から多量の血漿蛋白が漏出することにより,低蛋白血症をきたし,その結果浮腫,腹水,胸水,心囊水,栄養不全をきたす疾患.
▼病態・分類
蛋白漏出性胃腸症は稀少疾患であるものの,時に予後不良な転帰をとる重篤な疾患.原因疾患は胃症(protein-losing gastropathy)と腸症(protein-losing enteropathy)で異なる.分類と原因疾患を表4-9図に示す.腸症は潰瘍性病変,非潰瘍性病変,リンパ管閉塞またはリンパ管内圧上昇に伴う二次性病変など多岐にわたるが,原因不明な場合もある.原因疾患を鑑別することが有効な治療に結びつくため,診断が重要である.
▼診断〔本章「腸リンパ管拡張症」の項(→)も参照〕
➊便検査
脂肪便鑑別のための便中脂肪滴の測定,集卵法,塗抹法による寄生虫検査,クロストリディオイデス・ディフィシル感染症鑑別のためのCDトキシン・抗原など.
➋血液検査
結核の鑑別としてのT-SPOT,自己免疫疾患の鑑別としての抗核抗体,抗DNA抗体などの各種自己抗体,悪性リンパ腫の鑑別としての可溶性IL-2受容体,HTLV-1感染症の鑑別としてのHTLV-1抗体価,セリアック病の鑑別としての組織トランスグルタミナーゼ抗体,抗グリアジン抗体など).
➌上部消化管内視鏡,大腸内視鏡,小腸カプセル内視鏡,バルーン小腸内視鏡
消化管内腔の観察および生検,腸液培養.
➍頸部~骨盤部CT
壁内・壁外病変,他臓器病変の確認.
➎心エコー
うっ血性心不全,収縮性心膜炎の確認.
➏小腸内細菌異常増殖症候群(small intestinal bacterial overgrowth syndrome:SIBO)
ブドウ糖内服呼気終末水素・メタンガス分析,腸液培養.
▼治療
原因疾患の治療.蛋白漏出性胃症はピロリ菌除菌,酸分泌抑制薬などに反応することが多い.蛋白漏出部位が限局的か
関連リンク
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