診療支援
治療

2 急性出血性直腸潰瘍
acute hemorrhagic rectal ulcer
渡辺 憲治
(兵庫医科大学特任准教授・腸管病態解析学)
佐野 弘治
(十三市民病院・消化器内科副部長)

疾患を疑うポイント

●動脈硬化の要因を有する高齢者が脳血管障害などで寝たきりで仰臥位が多くなったあとに発症する.

●突然の無痛性新鮮出血で発症し,歯状線直上の下部直腸に不整形潰瘍などを認める.

学びのポイント

●仰臥位で寝たきり状態にある患者に無痛性の新鮮血便が発症した場合に,本疾患を念頭におく.

●重篤な基礎疾患がない例,寝たきりでない例,出血がない例,内視鏡検査で歯状線直上に潰瘍を認めない例などは他疾患との鑑別を要する.

▼定義

‍ 寝たきり状態の高齢者が突然に無痛性の大量新鮮血便を呈し,下部直腸に辺縁明瞭な周囲に炎症反応が乏しい潰瘍が確認される特徴的な臨床像を示す救急疾患.

▼病態

 動脈硬化の要因を有する高齢者が脳血管障害などで寝たきりとなり,仰臥位ばかりになると下部直腸の血流が低下する.本疾患は,こうした血流低下による虚血性粘膜障害で,仰臥位で放置せず,側臥位を主体に積極的に体位変換を行うことによ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?