診療支援
治療

(2)肝腎症候群
hepatorenal syndrome(HRS)
髙村 昌昭
(新潟大学大学院准教授・消化器内科学)
寺井 崇二
(新潟大学大学院教授・消化器内科学)

疾患を疑うポイント

●有腹水肝硬変症例の経過中に,血清Cr 1.5mg/dL以上で,2日間以上利尿薬を中止してアルブミン投与後も血清Crの改善がない場合に疑う.

学びのポイント

●病態は腎皮質血管のれん縮による腎血行動態の異常.

●SBPに続発し急速に進行するⅠ型と難治性腹水を伴うことが多い緩徐な経過のⅡ型がある.

●薬物治療としてはアルブミン併用下での血管収縮薬投与である.肝移植は根治療法.

●予後は不良で,特にⅠ型HRSでは死亡率が2週間で80%になる.一方Ⅱ型でも平均予後が4~6か月とされる.

▼定義

 非代償性肝硬変に併発する腎不全であるが,腎組織において器質的な障害がなく機能的な腎障害である.

▼病態

 肝硬変では,肝内血管抵抗の増加により門脈圧が亢進する.また一酸化窒素(NO)や血管内皮増殖因子といった血管拡張因子の増加もあり末梢血管は拡張する.一方で蛋白合成能の低下から低アルブミン血症による血管

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