疾患を疑うポイント
●慢性に経過する胆道系酵素上昇をきたす.
●画像上肝内外胆管の拡張がみられる.
●炎症性腸疾患を高率に合併する.
学びのポイント
●ALPやγ-GTPなど胆道系酵素上昇を認め,画像上胆管拡張があり,総胆管結石や悪性腫瘍による胆管閉塞が否定された場合,念頭におくべき疾患である.
●胆道造影が診断のカギである.
●有効性が確立された薬剤が存在せず,いまだに予後不良の疾患である.
▼定義
肝内外の胆管に多発性・びまん性の狭窄が生じ,慢性進行性の胆汁うっ滞をきたす原因不明の慢性肝疾患である.硬化性胆管炎は肝内・外の胆管にびまん性に胆管狭窄を生じる疾患の総称であり,PSCとIgG4関連硬化性胆管炎,さらにほかの成因による二次性硬化性胆管炎に分類される.
▼病態
胆管周囲の輪状線維化と炎症細胞浸潤により肝内外で胆管狭窄が生じ,胆汁うっ滞が生じる.細菌感染・胆管炎や黄疸を繰り返しながら肝線維化が進行し