疾患を疑うポイント
●慢性に経過する胆道系酵素上昇をきたす.
●画像上肝内外胆管の拡張がみられる.
●炎症性腸疾患を高率に合併する.
学びのポイント
●ALPやγ-GTPなど胆道系酵素上昇を認め,画像上胆管拡張があり,総胆管結石や悪性腫瘍による胆管閉塞が否定された場合,念頭におくべき疾患である.
●胆道造影が診断のカギである.
●有効性が確立された薬剤が存在せず,いまだに予後不良の疾患である.
▼定義
肝内外の胆管に多発性・びまん性の狭窄が生じ,慢性進行性の胆汁うっ滞をきたす原因不明の慢性肝疾患である.硬化性胆管炎は肝内・外の胆管にびまん性に胆管狭窄を生じる疾患の総称であり,PSCとIgG4関連硬化性胆管炎,さらにほかの成因による二次性硬化性胆管炎に分類される.
▼病態
胆管周囲の輪状線維化と炎症細胞浸潤により肝内外で胆管狭窄が生じ,胆汁うっ滞が生じる.細菌感染・胆管炎や黄疸を繰り返しながら肝線維化が進行し,肝硬変・肝不全へと至る.
自己免疫疾患と考えられているものの,病因には不明な点が多い.高率に炎症性腸疾患を合併することから腸管の炎症や腸内細菌の関与が示唆されている.
▼疫学
国内患者総数は約2,300人と推定されている.男女比はおよそ1:0.9,診断時年齢のピークは20~40歳,および60~70歳と2峰性である.
▼診断
➊症状
初発症状としては黄疸や発熱・腹痛(胆管炎)が多い.ただし,無症状のまま血液検査がきっかけで診断される症例が約半数を占める.
➋血液検査
ALPやγ-GTPなど胆道系酵素が上下動を繰り返しながら慢性に上昇する.自己抗体の陽性頻度は低い.IgG4値も10%程度の症例では高値となる.
➌画像診断
診断上最も重要である.数珠状所見(beaded appearance)(図5-14図)や剪定状所見(pruned tree appearance)が特徴的である.
➍病理組織所見
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関連リンク
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