▼概念
肝内の胆管上皮あるいはそれに由来する細胞から発生した上皮性悪性腫瘍である.肝原発の悪性腫瘍の約5%を占める.
発育形態から,肝実質に明瞭な類円形の限局性腫瘤を形成する①腫瘤形成型(mass forming type),胆管周囲の血管,結合組織を巻き込みつつ,胆管の長軸方向への樹枝状進展を示し,末梢胆管の拡張がみられることがある②胆管浸潤型(periductal infiltrating type),胆管内腔へ乳頭状,顆粒状の発育を示すが,時に表層拡大進展や,胆管内腫瘍栓の形態を示すこともある③胆管内発育型(intraductal growth type)の3つのタイプに分類される.組織学的には多くは腺癌であり,高分化型が多く,サイトケラチン(CK)7やCK19が陽性である.
また発生部位により肝内末梢胆管に由来した末梢型の肝内胆管癌と,左右胆管の肝側主要分枝あるいは胆管周囲付属腺に由来した肝門部型の肝内胆管癌に分類されるが,肝門部型の肝内胆管癌は肝門部胆管に由来する肝門部癌(肝外胆管癌に区分される)との鑑別が困難であることが多く,あわせて肝門領域胆管癌とよばれることもある.肝門部型の肝内胆管癌は黄疸をきたしやすいが,末梢型の肝内胆管癌は黄疸が出現しにくく発見が遅れることが多い.
肝内結石症が肝内胆管癌の危険因子として報告されており,また原発性硬化性胆管炎やCaroli(カロリ)病,肝吸虫症などの寄生虫感染のほか,近年,化学物質のジクロロプロパンの曝露が病因として挙げられている.ウイルス性肝炎に伴う肝硬変も肝内胆管癌の発生リスクを高めることが知られており注意が必要である.好発年齢は70歳代で高齢者に多い傾向がある.
▼検査所見・診断
肝内胆管癌ではγ-GTPやALPなどの胆道系酵素の上昇を認め,胆管閉塞の程度により黄疸が出現する.腫瘍マーカーではCA19-9やCEAが陽
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