診療支援
治療

2 アミロイドーシス
amyloidosis
徳重 克年
(東京女子医科大学教授・消化器内科)

▼定義

 アミロイドーシスを引き起こすアミロイドは,HE染色では淡好酸性で無構造,コンゴレッド染色では橙赤色に染まる.偏光顕微鏡では緑色の複屈折を示す.この線維構造の特異な蛋白であるアミロイドが,臓器,組織の細胞外に沈着,臓器障害を招く疾患群をアミロイドーシスとよんでいる.アミロイドは電子顕微鏡下では,直線状の幅8~15mmの細線維像としてとらえられる.

▼分類

 これまでに31種類のアミロイドーシスが報告されているが,以下に代表的な全身性アミロイドーシスを挙げる.ALアミロイドーシスとFAPアミロイドーシスは指定難病となっている.

免疫グロブリン性アミロイドーシス(原発性アミロイドーシスおよび骨髄腫に伴うアミロイドーシス)

 免疫グロブリンの連鎖(light chain:L鎖)が沈着する.ALアミロイドーシスともよばれる.λ鎖(Aλ)とκ鎖(Aκ)の2種類がある.

反応性アミロイドーシス(続発性アミロイドーシス)

 慢性炎症性疾患,特に関節リウマチに続発する.炎症に反応して産生される急性相反応物質の血清アミロイドA(serum amyloid A:SAA)に由来するアミロイドA蛋白が沈着,AAアミロイドーシスともよばれる.

家族性アミロイドーシス

 家族性アミロイドポリニューロパチー(familial amyloid polyneuropathy:FAP)Ⅰ型は,異型TTR(トランスサイレチン)が原因蛋白となる.常染色体優性遺伝で,わが国では熊本県と長野県に多発する家系が報告されている.

▼臨床所見

 全身性アミロイドーシスでは,倦怠感,不整脈,心肥大,悪心・嘔吐,下痢,肝腫大,巨舌,手根管症候群,多発ニューロパチーなどの多彩な症状を現し,重症になると黄疸を呈する.肝臓のアミロイド沈着が多量になると,肝臓は硬く腫大し,腹水も出現する.肝機能検査では,血性ALPの上昇をみることが多いが,通

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?