診療支援
治療

【3】肝炎ウイルス
hepatitis viruses
四柳 宏
(東京大学医科学研究所教授・感染症学)

疾患を疑うポイント

●どのウイルスも急性肝炎を起こしうる.

●急性肝炎の症状は黄疸(褐色尿)のほかは全身倦怠感,食欲低下など非特異的なものが多い.

学びのポイント

●ウイルス性急性肝炎は急性肝障害のなかで最も頻度の高いものの1つ.正確に診断し,適切に治療することは大切.

●ウイルスに感染した肝細胞が主に免疫応答により破壊され,肝機能障害を生じる.

●A型肝炎,E型肝炎は経口感染による肝炎であり,原則として慢性化しない.

●B型肝炎,C型肝炎は経皮・粘膜感染により生じ慢性化することがある.

●EBウイルス,サイトメガロウイルスの初感染の際には異型リンパ球の末梢血への出現を特徴とする急性肝障害が起こる場合がある.

●ウイルス性急性肝炎に対する抗ウイルス療法は,重症肝炎を除くと標準療法ではない.

▼定義

 ウイルス性急性肝炎は,ウイルスに感染した肝細胞が免疫応答あるいはウイルスの細胞障害作用により破壊され,炎症と同時

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