診療支援
治療

(1)シャルコー三徴,レイノルズ五徴,急性閉塞性化膿性胆管炎
田中 麗奈
(東京医科大学講師・消化器内科)
糸井 隆夫
(東京医科大学主任教授・消化器内科)

▼定義

‍ 胆道感染症はなんらかの原因によって胆管閉塞をきたし胆汁の通過障害が起こることで,胆汁がうっ滞し胆汁中の細菌が増殖し感染を起こす炎症性疾患である.

▼病態

‍ 急性胆管炎は閉塞した胆管内で胆汁中の細菌やエンドトキシンが血管内に移行し,菌血症および敗血症を生じる.また,胆道系は胆道内圧上昇による影響を解剖学的に受けやすく,胆道内圧上昇により細胆管が破綻し,細菌や胆汁内容物が肝内,血中へと移行しやすく急性胆囊炎に比べ,肝膿瘍や敗血症など重篤になりやすい.

 胆管閉塞の原因としては総胆管結石が多いが,胆道癌,膵癌,リンパ節転移による悪性胆道狭窄,硬化性胆管炎や慢性膵炎などの良性胆管狭窄が挙げられる.また近年では,胆道癌,膵癌の増加に伴い悪性胆道狭窄に対する胆道ドレナージステントの閉塞や胆道外科手術後の胆道消化管吻合部狭窄によるものも多い.

 起因菌については腸管から胆管へ逆行する上行性感染が多く,腸内細菌叢に由来しており,大腸菌やクレブシエラなどのグラム陰性桿菌や腸球菌によるものが多い.また,急性胆管炎における胆管胆汁の細菌培養陽性率は60~76%程度と報告されている.

▼疫学

 近年では悪性胆道狭窄による急性胆管炎が増加し,その割合は約10~30%といわれている.

▼分類

急性閉塞性化膿性胆管炎(acute obstructive suppurative cholangitis:AOSC)

 通常の胆管炎症状である腹痛,発熱,黄疸に加え,意識障害,ショックを認めたものを急性閉塞性化膿性胆管炎と称し,胆管炎により臓器障害をきたしているため全身管理と緊急胆道ドレナージが必要である.

▼診断

 急性胆管炎は臨床症状,血液検査所見,画像診断により診断され,その診断基準として「急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン2013」およびその国際版であるTokyo Guidelines 2013(TG13)が広

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