診療支援
治療

1 胆囊ポリープ
gallbladder polyp
伊佐山 浩通
(順天堂大学大学院教授・消化器内科学)

疾患を疑うポイント

●検診などの腹部エコーでの発見例が多い.

●有茎性のコレステロールが最も多い.

●基本的には無症状.

学びのポイント

●コレステロールポリープは癌化せず,無症状なので,経過観察.

●炎症性ポリープ,過形成性ポリープなどがあるがまれ.

●癌・腺腫を疑うポリープ:10mm以上,広基性.

●コレステロールポリープと確診できないものは胆摘術を検討する.

▼定義

 胆囊内に存在するpolypoid lesionの総称.

▼病態

 コレステロールポリープは,脂質代謝異常の症例に多くみられる.病的意義はなく,基本的には無症状.ほかの良性ポリープも症状はない.

▼疫学

 健診での発見頻度は4.3~6.9%と報告されている.健診での発見例はほとんどがコレステロールポリープである.

▼分類

 コレステロールポリープ,過形成性ポリープ,炎症性ポリープ,線維性ポリープ,腺腫・腺癌に分類される.

▼診断

 基本的には画像診断であり,コレステロールポリープと腺腫・腺癌の鑑別がポイントである.コレステロールポリープは有茎性で高エコースポットの集簇,表面桑実状である(図5-34).血流からの鑑別診断は困難で,コレステロールポリープであっても造影CTや造影超音波・超音波内視鏡,ドプラモードで血流が認められる.コレステロールポリープの多くは多発していることも特徴の1つである.

 腺腫・腺癌を疑うのは10mm以上,広基性という形態的な特徴であり,10mm以上で少しでもコレステロールポリープとして典型的ではない所見があったときには安易に診断してはいけない.有茎性ポリープが集簇,あるいは体位により広基性ととらえられることがあるので,一度は専門家にコンサルトして,超音波内視鏡検査を施行することが望ましい.腺癌では,壁に沿った進展が主病変部位から壁にそって連続する不整な壁肥厚としてとらえられることがあり,周囲の粘膜にも注意を払う必要が

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