診療支援
治療

2 胆囊腺筋腫症
gallbladder adenomyomatosis
伊佐山 浩通
(順天堂大学大学院教授・消化器内科学)

疾患を疑うポイント

●検診のエコーなどでみつかる胆囊壁肥厚.

学びのポイント

●胆囊壁の肥厚は胆囊癌を疑う所見であり,鑑別が重要となる.

●胆囊壁に憩室様に嵌入したRASの増生により惹起され,それを反映する画像所見が診断の決め手となる.

●癌化はしない病変であるが,底部型や分節型で,底部がdead spaceとなって慢性炎症となると癌が発生する.

▼定義・病態

 憩室様嵌入であるRokitansky-Aschoff(ロキタンスキー-アショフ)洞(Rokitansky-Aschoff sinus:RAS)が拡張・増殖し,それに伴い胆囊壁が肥厚してくる病態.粘膜と筋層の過形成性変化である.特に症状は呈さないが,分節型では底部側の慢性炎症による発癌の可能性がある.

▼疫学

 健診での発見は約0.5%と報告されている.

▼分類

 部位と広がりによる分類があり,びまん型,限局型,分節型がある(図5-35)

▼診断

‍ 壁肥厚部にRASを証明できれば診断は確実である.壁肥厚部内に超音波・超音波内視鏡では無エコースポット,あるいは小囊胞として描出される(図5-36).MRIでの描出も客観性があってわかりやすく,超音波での診断困難例では有用である.MRIでは胆囊の外側に点状のhigh intensity spotとして描出され,真珠の首飾り徴候(pearl necklace sign)とよばれている(図5-37).腹部超音波検査では,RASやRAS内の壁在結石がコメット様エコー(comet like echo)として描出される(図5-38).comet like echoは高エコーで,彗星のように尾を引くことから名付けられている.

▼治療

 癌化しない病変であるので,原則的には経過観察である.胆囊癌を見逃している,あるいは腺筋腫症の壁肥厚と区別がつかない可能性を考えて6か月ごとの超音波検査による経過観察を癌の

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