学びのポイント
●妊娠中は軽度の耐糖能異常であっても,管理が不適切であると母児にさまざまな合併症が発生する.
●妊娠糖尿病の既往は将来の2型糖尿病発症のリスク因子となる.
▼定義
妊娠中に取り扱う糖代謝異常には,①妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus),②妊娠中の明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy),③糖尿病合併妊娠(pregestational diabetes mellitus)の3つがある.「妊娠糖尿病」は「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常である」と定義され,妊娠中の明らかな糖尿病,糖尿病合併妊娠は含めない.
▼病態
妊娠,分娩,産褥の経過に伴い,母体の糖代謝は変化する.妊娠中期以降は胎児の成長のために,母体が摂取したエネルギー,すなわちブドウ糖を胎児に優先的に供給する必要がある.このため,