▼定義(表6-24図)
フルクトース(果糖)は蜂蜜・果物・野菜に含まれている.スクロース(ショ糖)は腸管でフルクトースとグルコースに分解される.フルクトースはフルクトキナーゼの作用でフルクトース1-リン酸へ代謝され,さらにアルドラーゼBの働きで代謝され,最終的にピルビン酸・乳酸となり解糖系・Krebs(クレブス)回路に入る(図6-17図).フルクトース代謝異常症には3疾患がある.果糖・ショ糖・ソルビトールを摂取して,フルクトースが生成されると代謝異常が明らかになる.
▼病型
➊肝フルクトキナーゼ欠損症
肝フルクトキナーゼ欠損症は,果糖やショ糖の摂取後に血中フルクトース濃度が上昇する.尿中にフルクトースが排泄されるため,本態性フルクトース尿症ともよばれる.その他は無症状で,予後良好である.
➋遺伝性フルクトース不耐症
遺伝性フルクトース不耐症(hereditary fructose intolerance)は,3種のアイソザイムがあるアルドラーゼ〔フルクトース1,6-二リン酸アルドラーゼ(fructose 1,6-bisphosphate aldolase)〕のうちB(肝型)の異常症である.A(筋型)とC(脳型)は正常である.この酵素はフルクトース1-リン酸をジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒドに分解する反応と,フルクトース1,6-二リン酸をジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド3-リン酸に分解する反応を触媒している.このため,遺伝性フルクトース不耐症ではフルクトース1-リン酸の蓄積とグリコーゲン分解の障害が起こり,低血糖が起こる.
本疾患ではフルクトースを含む離乳食を摂った後に低血糖や嘔吐が誘発され,最悪の場合には肝不全から死に至る.治療として,フルクトース・果糖・ショ糖・ソルビトールを食事から除去する.慢性型では,果糖摂取後に悪心・嘔吐や低血糖が起こるために,
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