▼定義・病態・疫学
ミクロソームトリグリセリド転送蛋白(microsomal triglyceride transfer protein:MTP)遺伝子の変異により低脂血症をきたす常染色体劣性遺伝疾患である.MTPは肝・小腸で合成されたアポBにTGが付加されVLDL,カイロミクロンが形成される過程において不可欠である.VLDLは末梢組織に必要なコレステロールを輸送し,小腸でのカイロミクロン形成により脂肪が吸収される.MTPの機能欠失変異により,小腸上皮の原始カイロミクロンと肝細胞の原始VLDLに脂質が転送されないため,カイロミクロンとVLDLが生成されず低コレステロール,低TG血症をきたす.きわめてまれな疾患であり,日本人では10家系程度報告されている.
▼診断
血清アポB濃度が欠損レベル(5mg/dL未満)であり,下記臨床症状・検査値異常を認め,ほかの低脂血症が除外されれば本症が強く疑われ