疾患を疑うポイント
●新生児マススクリーニングの対象疾患であり,見逃すと重篤な精神運動発達遅滞をきたすが,新生児期に発見され厳密な食事療法を行うと正常発達が期待できる.
学びのポイント
●古典的なフェニルケトン尿症以外に,フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)の補酵素であるBH4反応性高フェニルアラニン(Phe)血症,PAH以外の酵素欠損によるBH4欠損症などの病型が存在し,治療が異なるため注意が必要.
●わが国のほとんどの症例はPAH欠損症に分類され,診断時の血中Phe値により,軽症高Phe血症,軽症PKU,古典的PKUに分類されるが,摂取Phe量によって血中Phe値は異なるため,これらの重症度を厳密に分類することはできない.
●PKU患者が女性の場合,妊娠中の高Phe血症は,胎児に小頭症や心奇形など重篤な影響を与え,治療不可能な精神運動発達遅滞をきたす(マターナルPKU)ため,PKU患者が妊娠を希望する場合,受胎前から全妊娠期間を通じて血中Phe値を厳格にコントロールすることが必要.
▼定義
必須アミノ酸であるフェニルアラニン(Phe)をチロシンに変換するフェニルアラニン水酸化酵素(phenylalanine hydroxylase:PAH)の先天的な欠損によるアミノ酸代謝異常症.
▼病態
無治療の場合,過剰なPheやその下流の代謝障害により,乳幼児期では精神発達遅滞を代表とする神経障害および色素障害などの臨床症状を引き起こす.特に神経障害は生後ただちに治療を開始する必要があり,治療開始が遅れた場合不可逆的な知的障害を残す.さらに,学童期以降から成人においても,不十分な治療により精神障害などの異常所見がみられるため,生涯にわたる治療が必要である.さらに,血中Pheが高い女性患者が妊娠すると,高率に流産,子宮内発育遅延,小頭症,知的障害,先天性心疾患をきたし,児の予後は著しく不良となるた
関連リンク
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