診療支援
治療

2 ホモシスチン尿症
homocystinuria
中村 公俊
(熊本大学大学院教授・小児科学)

疾患を疑うポイント

●新生児マススクリーニング対象疾患であるが,ビタミンB6反応型では高メチオニン血症が軽度であることから,スクリーニングで発見できない場合もある.

●小児期の水晶体脱臼,原因不明の中枢神経障害,Marfan症候群様の高身長,クモ状指などを認めた場合には,本症も念頭に血中アミノ酸分析を行う.

学びのポイント

●主要症状はホモシステインの蓄積とシステインの欠乏による中枢神経,骨格系,血管系,眼球などの障害.

●シスタチオニン-β合成酵素(CBS)欠損症以外に,コバラミン(ビタミンB12)代謝異常症やメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)欠損症においてもホモシステインの蓄積をきたし,同様の臨床症状を呈することがある.

▼定義

‍ シスタチオニン-β合成酵素(cystathionine β synthase:CBS)の先天的欠損により,メチオニンの代謝産物であるホモシステインが血中に蓄積し発症する先天代謝異常症.

▼病態

 シスタチオニン-β合成酵素は,ビタミンB6を補酵素として,ホモシステインとセリンからシスタチオニンを合成する.この酵素の異常により,基質であるホモシステインが蓄積し,ホモシステインの重合体であるホモシスチンが尿中へ排泄される.そのため,ホモシスチン尿症とよばれている.ホモシステインの蓄積により,中枢神経障害,血栓症,フィブリリン機能障害〔Marfan(マルファン)症候群様の眼症状や骨格異常〕を発症する.ビタミンB6大量投与に反応するB6反応型と,反応しない不応型がある.

▼疫学

 常染色体劣性遺伝疾患で,わが国の新生児マススクリーニングでは約80万人に1人の割合で発見される.

▼診断・治療

 新生児マススクリーニングではメチオニン高値を指標にホモシスチン尿症をスクリーニングしている.精密検査においては,①血中メチオニン高値:1.2 mg/dL(80 μmol/L

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