疾患を疑うポイント
●家族歴を伴う下記の特徴をもつ高尿酸血症患者.
①乳幼児:難聴・筋緊張低下など神経症状を伴う産生過剰型高尿酸血症.
②成人:産生過剰型高尿酸血症.
▼定義
phosphoribosylpyrophosphate(PRPP)合成酵素活性の亢進を伴う,X染色体優性(顕性)遺伝形式の高尿酸血症である.
▼病態
PRPP合成酵素はプリンde novo合成経路やプリン代謝経路,ピリミジンde novo合成において重要な基質であるPRPPの生成反応を触媒する酵素である.この酵素の活性上昇またはnegative feedback機能の低下により高尿酸血症とそれに関連する症状を呈する.
▼分類
酵素学・遺伝学的には調節的性質異常型(フィードバック障害),最大活性上昇型(転写亢進型)と混在型に分類され,臨床的には神経症状を伴わない成人発症例(転写亢進型に多い)と神経症状を伴う乳幼児発症例(フィードバック障害型に多い)に分類される.
▼疫学
フィードバック障害型では原因遺伝子であるPRPS1遺伝子の異常が世界で9家系の報告がある.転写亢進型の有病率は不明だが,世界で30例前後と考えられ,非常にまれな疾患である.
▼診断
すべての患者で線維芽細胞におけるヌクレオチドの増加が認められる.
転写亢進型では赤血球のPRPP合成酵素活性亢進が特徴的である.フィードバック障害型では赤血球中の酵素の不安定性のため赤血球では診断ができず,線維芽細胞で活性を測定する.転写亢進型はPRPS1遺伝子自体には異常がないが,フィードバック障害型は同遺伝子の変異が関連する.
➊鑑別診断疾患の除外
プリン体代謝経路の異常であるLesch-Nyhan症候群(HPRT欠損症)やS-アデノシルホモシステイン加水分解酵素欠損症などが鑑別疾患となる.
▼治療
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