疾患を疑うポイント
●急性ポルフィリン症(AP)の発作の特徴〔急性腹症を思わせる腹部症状(原因不明で,訴えは強いが他覚的所見に乏しい)が初期にみられ,次に,不眠,不安などの精神症状を呈し,最後には四肢麻痺,球麻痺などの神経症状を呈する〕より疑う.
●皮膚ポルフィリン症は,光線過敏性皮膚炎より疑う.
学びのポイント
●ポルフィリン症はヘム合成経路の酵素の先天異常により起こる疾患の総称で,臨床的には,APと皮膚ポルフィリン症に大別される.
●AP発症には,ダイエット,ストレス,月経,薬剤などの誘引が関与する.
●皮膚ポルフィリン症は光線過敏性皮膚炎が主症状だが,そのうちのEPPでは腹痛もみられる.
▼定義
ヘム合成経路の8つの酵素のうち,1番目のδ-アミノレブリン酸(aminolevulinic acid:ALA)合成酵素(ALAS)以外の酵素の先天異常が病因で生じる疾患の総称.
▼病態
ヘム合成経路の最終産物であるヘムの減少,および,中間代謝物質〔ALA,ポルホビリノーゲン(porphobilinogen:PBG),ウロポルフィリン(uroporphyrin:UP),コプロポルフィリン(coproporphyrin:CP),プロトポルフィリン(protoporphyrin:PP)〕の増加により,種々の症状(ポルフィリン症発作,光線過敏性皮膚炎など)が生じる.発作の機序としは,中枢神経系でのヘム欠乏によるミトコンドリア電子伝達系障害による灰白質の障害,あるいは,ALA蓄積による直接的神経毒性の2つが仮説として挙げられている.また,増加した中間代謝産物(ポルフィリン体:UP,CP,PP)は可視光線(405nm近辺の波長)により励起され,皮膚においては光線過敏性皮膚炎を,肝などの臓器では臓器障害をもたらす.
▼分類
臨床的に急性発作(三徴:急性腹症,神経症状,精神症状)を生じる急性ポルフィリン症(a
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