疾患を疑うポイント
●二次性徴は,男子では精巣容量増大・外性器成熟,陰毛・腋毛・髭の発生と変声に現れ,女子では乳房発育,陰毛の発生,外性器成熟と月経発来として認められる.
●二次性徴の開始には個人差があり,平均年齢から2SDより遅れて開始したものが病的遅延,思春期遅発症とされる.
●思春期の二次性徴は,視床下部よりも中枢の成熟時計とよばれる体内時計により,GnRH分泌が亢進し,LH,FSH分泌を介して性腺ホルモン分泌が促されて発来する.
●思春期に到達しても,二次性徴の出現が明らかに遅れているとき,あるいは性成熟の徴候が消失したときに本症を疑う.
学びのポイント
●性腺からの性ステロイドホルモン分泌は,視床下部ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)・下垂体前葉ゴナドトロピン(FSH,LH)による司令を受け,性腺からは視床下部・下垂体に対し負のフィードバックが作動する.
●性腺機能低下症には,性腺自体に原因がある原発性と,視床下部・下垂体ホルモン分泌の低下による続発性に大別される.
●性腺機能低下症において,原発性では,フィードバックにより血中ゴナドトロピンが高値となり(高ゴナドトロピン性),続発性では血中ゴナドトロピンは低下する(低ゴナドトロピン性).低ゴナドトロピン性の病態は,中枢性性腺機能低下症ともよばれるが,GnRH分泌障害による視床下部性と,下垂体ゴナドトロピン分泌障害による下垂体性に分類される.
●本項では,低ゴナドトロピン性性腺機能低下症のうち,特発性,idiopathic hypogonadotropic hypogonadism(IHH)について述べる.
●IHHは,視床下部・下垂体のなんらかの病因によるLH,FSH分泌低下により発症する.視床下部・下垂体領域の器質的疾患,機能的ゴナドトロピン分泌低下,複合型下垂体ホルモン分泌低下症など原因が明らかなものは除外される.
●男性例で
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