診療支援
治療

1 慢性甲状腺炎(橋本病)
chronic thyroiditis(Hashimoto thyroiditis)
田上 哲也
(国立病院機構京都医療センター・内分泌・代謝内科診療部長)

疾患を疑うポイント

●一般診療で遭遇するチャンスはきわめて高い.

●甲状腺機能低下症の最も多い原因疾患である.

●さまざまな甲状腺機能を示す.

●弾力のある硬いびまん性甲状腺腫が特徴.

学びのポイント

●びまん性甲状腺腫と甲状腺自己抗体で診断.

●甲状腺機能は時間経過で多彩に変化するため,定期的な経過観察が必要である.

●ヨウ素の過剰摂取により甲状腺機能低下症になりやすい.

●永続性の甲状腺機能低下症に対する甲状腺ホルモン製剤の補充は,少量から開始してTSHを指標に漸増していく.

▼定義

 1912年に橋本策博士によって“struma lymphomatosa”として発表された.病理学的に,①リンパ濾胞の形成,②甲状腺上皮細胞の変性,③結合組織の新生,④円形細胞のびまん性浸潤,と定義された.

▼病態

 血液検査で甲状腺自己抗体が陽性になり,Basedow(バセドウ)病とともに自己免疫性甲状腺疾患として分類される.自

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