疾患を疑うポイント
●一般診療で遭遇するチャンスはきわめて高い.
●甲状腺機能低下症の最も多い原因疾患である.
●さまざまな甲状腺機能を示す.
●弾力のある硬いびまん性甲状腺腫が特徴.
学びのポイント
●びまん性甲状腺腫と甲状腺自己抗体で診断.
●甲状腺機能は時間経過で多彩に変化するため,定期的な経過観察が必要である.
●ヨウ素の過剰摂取により甲状腺機能低下症になりやすい.
●永続性の甲状腺機能低下症に対する甲状腺ホルモン製剤の補充は,少量から開始してTSHを指標に漸増していく.
▼定義
1912年に橋本策博士によって“struma lymphomatosa”として発表された.病理学的に,①リンパ濾胞の形成,②甲状腺上皮細胞の変性,③結合組織の新生,④円形細胞のびまん性浸潤,と定義された.
▼病態
血液検査で甲状腺自己抗体が陽性になり,Basedow(バセドウ)病とともに自己免疫性甲状腺疾患として分類される.自