疾患を疑うポイント
●小児では,低身長,O脚,X脚,歩行障害などくる病に特徴的な身体所見を認める.
●成人では,骨痛や筋痛,筋力低下などから骨軟化症を疑う.
学びのポイント
●くる病・骨軟化症の本態は,骨の石灰化障害である.その主な病因として,ビタミンD欠乏をはじめとするビタミンD作用障害と低リン(P)血症が挙げられる.
●骨端線の閉鎖前に発症した場合はくる病とよばれ,低身長やO脚など特徴的な身体所見を示す.骨端線閉鎖後に発症した場合はそれらの身体所見はないが,骨痛や筋痛,筋力低下,低骨密度を認め,骨軟化症とよばれる.
●ビタミンD欠乏は,血清25水酸化ビタミンD〔25(OH)D〕の値で診断する.
●くる病・骨軟化症は活性型ビタミンD製剤やP製剤での治療により症候の改善が見込めることから適切な診断と治療が重要である.
▼定義
くる病・骨軟化症は,骨石灰化障害を特徴とする疾患である.このうち,骨端線閉鎖以前の小児に発症するものをくる病,閉鎖後に発症するものを骨軟化症とよぶ.
▼病態
骨は,主にCa,Pからなるヒドロキシアパタイト結晶が沈着し形成される.よって,CaやP濃度が低くなりすぎれば骨の石灰化は障害され,類骨の増加を認める.また,活性型ビタミンDは腸管でのCa,P吸収促進作用や,骨芽細胞の分化・石灰化作用を有することから,ビタミンD作用の低下はくる病・骨軟化症の原因となる.食物からの摂取や皮膚で合成されたビタミンDは,肝臓で25位,腎臓で1α位が水酸化され,1,25水酸化ビタミンDとなり作用を発揮する(図7-26図).この過程が障害されれば本疾患の原因となる.
一方,骨細胞が産生する線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23:FGF23)は,腎近位尿細管におけるP再吸収抑制や,ビタミンDの活性化抑制,それに伴う腸管でのP吸収の抑制により,血中Pを低下さ
関連リンク
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- 新臨床内科学 第10版/4 腫瘍性骨軟化症
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