▼病態
FAは,染色体不安定性を特徴とする遺伝性疾患で,骨髄不全,高発がん性などを特徴とする.現在までに21の責任遺伝子〔FANCA,-B,-C,-D1(BRCA2),-D2,-E,-F,-G,-I,-J(BRIP1),-L,-M,-N(PALB2),-O(RAD51C),-P(SLX4),-Q(XPF),-R(RAD51),-S(BRCA1),-T(UBE2T),-U,-V〕が同定されている.遺伝子産物は3つのグループに分類され,共通の分子ネットワークにおいて働き,DNAの修復を行う(図8-13図).本疾患では,遺伝子変異によりDNA修復障害が生じ,骨髄不全がもたらされると考えられる.
欧米では,FANCAの遺伝子変異が最も高頻度(60~70%)であり,FANCC,-G変異と併せて80%以上を占める.一方,日本人における解析ではFANCAとFANCG遺伝子の変異が最も多く認められるが,欧米と異なりFANCC変異はほとんどない.
▼疫学
遺伝形式は,FANCBとFANCR以外は常染色体劣性遺伝形式を示す.出生100万人あたり約5人であり,FAの保因者は200~300人に1人と推定されている.
▼診断
表8-10図に診断基準を示す.臨床所見のみで,FAを確定診断することは不可能である.小児期や青年期に発症したすべての再生不良性貧血患者に対して,ジエポキシブタンやマイトマイシン薬(MMC)を用いた染色体断裂試験を行う.典型的なFAでは染色体の脆弱性を証明できる.しかし,FA患者の約20%では,変異の野生配列への復帰や代償変異によって蛋白機能が回復した造血幹細胞クローンが増大した状態(reversion mosaic)にあると考えられている.染色体断裂試験が偽陰性に出る可能性もあり,骨髄不全の軽症化や自然寛解した例では,特に注意が必要である.
▼治療
➊蛋白同化ホルモン
蛋白同化ホルモ
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