疾患を疑うポイント
●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうる.
●血算で白血球減少を認めるとき.
●発症可能性が高い薬剤(抗甲状腺薬など)の投与下で,高熱を呈したとき.
学びのポイント
●好中球は細菌・真菌を貪食することで自然免疫を担っている.好中球の極端な減少は細菌感染・真菌感染の発症リスクを上げ,時に致死的となる.
●腋窩温37.5℃以上,好中球数500/μL未満あるいは1,000/μL未満で48時間以内に500/μL未満になると予測されるときは,発熱性好中球減少症と診断し,緊急対応が必要な感染症である.
●血液疾患や感染症,がん化学療法後に起こるが,特に抗がん剤以外による薬剤性好中球減少症・薬剤性無顆粒球症には原因薬剤の中止が必要である.
▼定義
桿状核と分葉核をあわせた好中球数1,500/μL未満を好中球減少症とよび,軽度(1,000~1,500/μL).中等度(500~1,000/μL).重度(500/μL未満)と分けられる.特に好中球数500/μL未満で抗がん剤以外の薬剤性のものを無顆粒球症とよぶ.
▼病態
好中球減少は,①産生低下,②循環プールから辺縁プールへの移動,③体内分布異常,④消費または破壊の亢進,によって起こる.造血器悪性腫瘍や再生不良性貧血,がん化学療法後の好中球減少は産生の低下によるが骨髄の正常血球産生機能全体が障害されている.ほかの薬剤性好中球減少には骨髄での好中球産生障害と,薬剤に対する抗体が産生されて好中球が破壊される免疫学的機序の2つがある.肝硬変や特発性門脈圧亢進症に伴う脾機能亢進では脾臓での好中球の貯留(体内分布異常)が起こる.重症先天性好中球減少症では好中球エラスターゼ遺伝子など種々の遺伝子異常が知られている.後天性の慢性好中球減少症は成熟好中球や骨髄前駆細胞を障害するTリンパ球・自己抗体が原因と考えられている.
▼疫学
慢性好中球減少症は約2,00
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