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治療

【4】血栓性血小板減少性紫斑病,溶血性尿毒症症候群
thrombotic thrombocytopenic purpura(TTP),hemolytic uremic syndrome(HUS)
宮﨑 浩二
(北里大学教授・輸血・細胞移植学)

疾患を疑うポイント

●いずれもまれな疾患で,後天性TTPは女性にやや多く,志賀毒素によるHUSは,下痢などの症状を伴い,小児に多い.

●血小板低下とCoombs試験陰性の溶血性貧血をみとめたら本疾患を疑う.

学びのポイント

●TMAは,MAHA,破壊性血小板減少,血小板血栓による臓器障害を三徴とする致死的病態である.TMAの代表疾患としてTTPとHUSがある.

●Gasser(ガッセル)の三徴(溶血性貧血,腎機能障害,血小板減少)を有するものをHUS,さらに発熱,動揺性精神神経障害を加えたMoschcowitzの五徴を有するものをTTPと臨床的に診断していたが,臨床症状だけで両者を鑑別するのは難しい.

●VWF切断酵素ADAMTS13の発見により,ADAMTS13が著減するTTPと低下しないHUSは別の病態からなる疾患として認識されるようになった.

▼定義

 血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)は,血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)のうちADAMTS13(a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13)が著減しているものをいう.溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)は志賀毒素産生性大腸菌(Shiga toxin-producing Escherichia coli:STEC)を原因とする下痢,血便,腹部症状を伴い,主に小児に発症するSTEC-HUSと,下痢を伴わない非典型HUS(atypical HUS:aHUS)に分けられ,後者は補体系の異常な活性化によるものであることが解明されてきており,家族性に発症することもある.

▼病態

 

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