診療支援
治療

【8】二次性血小板増多症
secondary thrombocythemia(reactive thrombocytosis)
金子 誠
(東京医科大学講師・臨床検査医学分野)

疾患を疑うポイント

●血小板数が45万/μL以上に持続的に増加した状態.

●一過性・慢性炎症や感染症などの影響による反応性な原因,クローナルな腫瘍性の原因がある.

学びのポイント

●血小板数は自動血球計数装置で測定されるため,測定値が本当か(検査過程で生じる偽高値や偽低値はないか)再評価する.以前の採血データ,再採血や塗抹標本,臨床症状の有無を確認する.

●血小板増多症の原因となる,一過性・慢性的な炎症や感染症(反応性),もしくは造血器疾患(腫瘍性)なのかを見極める.血小板増多を本態性血小板血症と短絡的に判断してはならない.

▼定義

 血液算定(血算)の血小板数で,おおむね血小板数が45万/μL以上〔本態性血小板血症(essential thrombocythemia:ET)の診断基準,WHO分類第4版改訂版,2016〕の場合を血小板増多症としている.

▼病態

 二次性(続発性)血小板増多症とは,一過性・慢性的な炎症や感染症などにより,反応性に血小板が増加する病態である.基礎疾患や病態の影響ごとに血小板増多のメカニズムの多少の差異はあるが,反応性に巨核球増殖/成熟や血小板放出が亢進,または血小板回転(ターンオーバー)が低下するために,結果として血小板数が増加する.例えば炎症性疾患や感染症では,トロンボポエチンやIL-6などのサイトカインが関与していると考えられている.脾臓摘出後(脾機能低下症を含む)は,血小板の代謝低下や,血小板プール(血小板分布)が脾臓から体循環へ変化することと関連する.出血/鉄欠乏では血球造血が亢進するため,血小板および赤血球の両方に共通する前駆細胞の増殖に関連した血小板増多のほか,血小板減少症後の回復期でのリバウンドがしばしば認められる.

▼疫学

 反応性(二次性)に血小板が増加する病態は,腫瘍性のものよりはるかに頻度が高い.文献的には,血小板増多症例の90%程度は反応性と

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?