検査のポイント
●白血病・リンパ腫・骨髄腫といった血液腫瘍のサブタイプを決めるために実施する検査.
●染色体検査は,全染色体にわたるスクリーニング的な検査.
●遺伝子検査は,特定の遺伝子を狙ったピンポイントの検査.このため,病型によって検索が必要になる遺伝子は異なる.
学びのポイント
●染色体検査では,まず表8-41図に示す表記の意味を知ることが重要.正常は46,XXもしくは46,XYで,これになんらかの異常が加わる.白血病では正常核型のこともあるが,リンパ腫では正常核型であることはほとんどなく,検査結果が正常核型の場合は非腫瘍細胞由来であると考えるべきである.
●遺伝子検査に関しては,まず遺伝子異常の種類を覚えることが重要(表8-42図).異常を知らなければ検査をオーダーできない.次に,その異常がどの病型で認められるのか,逆に遺伝子異常があった場合にはどういう病型の頻度が高いか,という関連を知るべきである.
●最終的には,形態検査結果に染色体・遺伝子の情報を加えて病型診断を行う.
▼特徴
➊染色体検査
分裂期にある細胞は,娘細胞に遺伝子を分配するために4倍体となる.このときに細胞内には染色体が出現し,これを形態観察して異常をみつけるのが染色体検査である.ヒトの染色体は46本あり,22種類の常染色体が2本と,XXもしくはXYの性染色体に分けられる.常染色体は,大きなものから順に1番染色体,2番染色体,……と命名されているが,21番と22番染色体のみ順序が逆で,21番染色体が最小の染色体である.転座など2つの染色体が関与する場合は,性染色体,数の少ない染色体から大きい染色体の順序で表記する.例示すると,t(X;17)(p21;q12)が正しく,t(17;X)とは記載しない.
血液疾患では染色体異常に起因する遺伝子異常がほとんど判明しており,重要なものを表8-42図に示す.染色体異常はこうした遺
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