疾患を疑うポイント
●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうるが,小児青年期に特に多い疾患.
●発熱,貧血症状,出血傾向などが初発症状であることが多い.リンパ節腫脹や肝脾腫を伴う場合もある.
学びのポイント
●ALLはリンパ芽球を起源とする腫瘍.
●年齢や合併症などの患者側の要素,染色体異常の有無などの白血病の要素のどちらも考慮し,適切な治療方針を選択する.
●多剤併用化学療法,同種造血幹細胞移植などの治療により,根治を目指せる疾患.
▼定義
造血幹細胞からリンパ球に分化する過程の幼若な段階の細胞であるリンパ芽球の腫瘍である.ALLでは腫瘍細胞が骨髄,末梢血を占める.同じリンパ芽球の腫瘍でも髄外の腫瘤性病変を認めて,骨髄での腫瘍細胞の割合が20~25%以下の場合はリンパ芽球性リンパ腫(lymphoblastic lymphoma:LBL)とよばれることが多い.
▼病態
腫瘍化したリンパ芽球(白血病細胞)が自律的に骨髄で増殖することで正常造血が抑制され,易感染性,貧血,出血傾向などの症状が出現する.これらが初発症状となることが多い.また腫瘍細胞の増殖そのものや全身の諸臓器への浸潤により,発熱や各種臓器障害も認められる.すみやかに後述にもあるような適切な抗がん剤などによる治療,輸血や抗菌薬投与などの支持療法が行われないと急速に進行して致死的となる疾患である.小児ALLでは遺伝的要因,環境因子,ウイルス感染,免疫不全などの発症への関与が示唆されている.成人ALLでも白血病細胞に染色体異常・遺伝子異常が認められることはしばしばあるが,そもそもの発症の要因は不明である.
▼疫学
主に6歳以下の小児に多い.成人での1年間の発症率は約10万に1人とされる.急性白血病において成人では約4:1の割合で骨髄性が多いが,小児では逆に約4:1の割合でリンパ性が多い.
▼分類
以前は芽球の形態に準拠したFrench-A
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