診療支援
治療

【11】有毛細胞白血病
hairy cell leukemia(HCL)
鈴宮 淳司
(島根大学医学部附属病院・先端がん治療センター/腫瘍・血液内科教授)

疾患を疑うポイント

●汎血球減少と脾腫をみた場合には必ず鑑別に挙げる.

▼定義

 進行が緩徐(インドレント,indolent)な成熟B細胞性白血病で,細胞表面に有毛状の突起を示す.汎血球減少と脾腫がみられ,骨髄と脾臓(赤脾髄)で白血病細胞の増殖がみられる.BRAF変異により生じる.

▼病態

‍ BRAFV600E変異によるMAPK(ERK)の恒常的活性化により,細胞が増殖・生存する(図8-68).細胞増殖の中心は骨髄と脾臓(赤脾髄)で,骨髄には細網線維の増生がみられるためドライタップとなる.単球減少を伴う汎血球減少がみられ,貧血,血小板減少による出血傾向,易感染性である.80~90%に脾腫がみられるが,肝腫大は20%,リンパ節腫脹は10%程度である.多くの患者に特徴的な白血病細胞(有毛細胞)がみられる.10%にリンパ球増加がみられる.

▼疫学

 欧州では0.3人/10万人/年,国内のリンパ系腫瘍の1%

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