疾患を疑うポイント
●汎血球減少と脾腫をみた場合には必ず鑑別に挙げる.
▼定義
進行が緩徐(インドレント,indolent)な成熟B細胞性白血病で,細胞表面に有毛状の突起を示す.汎血球減少と脾腫がみられ,骨髄と脾臓(赤脾髄)で白血病細胞の増殖がみられる.BRAF変異により生じる.
▼病態
BRAFV600E変異によるMAPK(ERK)の恒常的活性化により,細胞が増殖・生存する(図8-68図).細胞増殖の中心は骨髄と脾臓(赤脾髄)で,骨髄には細網線維の増生がみられるためドライタップとなる.単球減少を伴う汎血球減少がみられ,貧血,血小板減少による出血傾向,易感染性である.80~90%に脾腫がみられるが,肝腫大は20%,リンパ節腫脹は10%程度である.多くの患者に特徴的な白血病細胞(有毛細胞)がみられる.10%にリンパ球増加がみられる.
▼疫学
欧州では0.3人/10万人/年,国内のリンパ系腫瘍の1%以下とまれである.好発年齢の中央値は50~55歳で,男性に多い.
▼分類
細胞形態や脾腫などの症状は類似しているが,リンパ球増加を示すHCL亜型variant(HCLv)がある.また,HCL日本型Japanese variantも報告されている.
▼診断
汎血球減少症と脾腫を示す場合には考慮することが重要である.骨髄検査が必須である.血液塗抹標本の作製に強制乾燥を実施しているが,自然乾燥で作製した標本のほうが毛髪状の突起を確認しやすい(図8-69図).位相差顕微鏡や電子顕微鏡を用いるとより明確になる.フローサイトメトリー検査で,汎B細胞の形質(CD19,CD20,CD22陽性)と免疫グロブリン軽鎖の変異を示すが,CD10,CD21は陰性.CD11c,CD25,CD103,CD123,annexinA1が陽性で,多くはCD5陰性である.免疫グロブリン遺伝子の再構成を認める.
確定診断はBRAF変
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