疾患を疑うポイント
●無症状の高齢者が,健康診断で高蛋白血症や高ガンマグロブリン血症,尿蛋白陽性を指摘された場合に本疾患を疑う.
学びのポイント
●MGUSの診断には,多発性骨髄腫,原発性マクログロブリン血症や原発性アミロイドーシスの鑑別が必要である.
●MGUSと診断したら,定期的に経過観察を行う.
▼定義・病態
B細胞あるいは形質細胞の単クローン性増殖により単クローン性の免疫グロブリン(M蛋白)が検出されるが,血清M蛋白量は3g/dL未満,24時間尿中M蛋白量は500mg未満,かつ骨髄中の形質細胞が10%未満で,ほかのB細胞性腫瘍が否定され,かつ臓器障害がないことと定義されている.
▼疫学
MGUSの頻度は加齢とともに増加し,60歳代で1%,70歳代で3%程度である.
▼分類
国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group:IMWG)による診断規準(2014年)に従う〔本章「多発性骨髄腫」の項の表8-59図参照〕.非IgM型,IgM型,軽鎖型MGUSに分類される.
▼診断
➊M蛋白の検出・同定
血清IgG,IgA,IgMを測定する.多発性骨髄腫ではM蛋白以外の免疫グロブリンは減少しているが,MGUSでは保たれていることが多い.血清,尿の免疫固定法(immunofixation electrophoresis:IFE)により,M蛋白を同定する.進展予測のために,血清遊離軽鎖測定を行っておくことも有用である.
➋M蛋白量の測定
IgG型では,血清の蛋白電気泳動(serum protein electrophoresis:SPEP)を施行し,血清総蛋白(g/dL)にMピーク分画の割合を乗じたものが血清M蛋白量である.ただしIgA型やIgM型の場合は,それぞれの血清免疫グロブリン濃度をM蛋白量とする.尿蛋白測定には,24時間蓄尿検体での尿蛋白量測定と尿蛋
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