診療支援
治療

2 血尿
hematuria
今井 直彦
(聖マリアンナ医科大学講師・腎臓・高血圧内科)

学びのポイント

●ヘモグロビン尿やミオグロビン尿でも尿潜血反応は陽性となるが尿沈渣で赤血球を認めない.尿潜血反応が陽性である場合には尿沈渣で赤血球の有無を確認する必要がある.

●血尿をみたら糸球体からの出血による糸球体性血尿か,糸球体以外からの出血による非糸球体性血尿かを意識する.

●赤色尿を認め,肉眼的血尿を疑う場合,それが本当に血尿であるかを尿沈渣にて確認することが大事.尿1Lあたりに1~2mLの血液が混入すると肉眼的血尿となる.

●肉眼的血尿を認めた場合には,悪性腫瘍を念頭に膀胱鏡検査を含めた精査を必ず行う.

▼定義

 赤血球の尿中への異常な排泄のこと.400倍視野(high power field:HPF)で赤血球を5個以上認める場合,病的とされ血尿という〔第1章のも参照〕.

▼分類

 尿潜血試験紙はヘモグロビンのペルオキシダーゼ様作用を利用している.尿潜血が陽性となるのは通常,尿中に赤血球が存在する場合である.また,試験紙法は遊離ヘム蛋白も検出するため,血管内溶血によるヘモグロビン尿や横紋筋融解によるミオグロビン尿でも尿潜血は陽性となる.ヘモグロビン尿やミオグロビン尿では尿潜血反応は陽性となるが尿沈渣で赤血球を認めない.尿潜血反応が陽性である場合には尿沈渣で赤血球の有無を確認する必要がある.

 血尿はその出血部位により,糸球体からの出血による糸球体性血尿と糸球体以外のからの出血による非糸球体性血尿とに大別される.血尿を認めた場合はそれが糸球体性の血尿であるのか非糸球体性の血尿であるかの鑑別が必要となる(表9-2)

 一般に糸球体性の血尿では赤血球はコブ状,ドーナッツ状,標的状などになり,また大きさも大小不同となることが多く,このような赤血球を変形赤血球という.この変形赤血球がみられるときには糸球体性血尿を考える.その一方で,非糸球体性血尿では均一な赤血球がみられる.変形赤血球の

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