診療支援
治療

3 CKDとCVDリスク
chronic kidney disease and cardiovascular disease risks
藤井 秀毅
(神戸大学大学院講師・腎臓内科)

▼慢性腎臓病はなぜ問題となるか?

 慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という概念が重要視されるようになった理由は,腎機能低下は単に腎臓の問題ではなく,生命予後に関係することがわかってきたからである.2002年にアメリカのNational Kidney FoundationKidney Disease Outcomes Quality Initiative(NKF KDOQI)より,CKDは心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)の重要なリスク因子であることを強調したガイドラインが出された.実際,腎機能の低下とともに心血管疾患の発症率が上昇していくことが示されている(図9-23).また,CKD患者における死亡原因の第1位は,CVDであることが知られており,これが重要な問題となっている.したがって,おのずと理解できると思われるが,CKDの進展を抑制することは非常に重要であり,また,CKD患者においてはCVDの存在を常に念頭においておく必要がある.

▼CKDにおけるCVDのリスク因子

 前述のようにCKD患者では,CVDが高頻度に認められる.この理由としては,CKDを進展させるリスク因子とCVDを進展させるリスク因子には共通したものがあるからである.いわゆるCVDの古典的リスク因子といわれるもの,加齢,性別(男性),喫煙,肥満,脂質異常症(LDL高値,HDL低値),家族歴,高血圧症,糖尿病などが共通したリスク因子で,これらはCKDにおいて高頻度に認められる.これに加えて,CKD特有の非古典的リスク因子が存在することが大きな問題となってくる.この非古典的リスク因子は,主には腎機能の低下に関連したものである.また,蛋白尿の有無により同じ腎機能であっても,CVDの発症率が約2倍に上昇することが報告されている.したがって,単に糸球体

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