診療支援
治療

1 急性糸球体腎炎症候群
acute glomerulonephritic syndrome(AGS)
尾田 高志
(東京医科大学八王子医療センター・腎臓病センター腎臓内科教授)

疾患を疑うポイント

●低補体血症.

●先行感染,潜伏期の存在.

●乏尿,血尿,浮腫,高血圧などを急性に発症.

学びのポイント

●AGSの代表疾患はPSAGN.

▼定義

 急性に発症する血尿,蛋白尿,高血圧,糸球体ろ過の低下,Naおよび水の貯留をきたす症候群.

▼病態

 腎疾患の既往のない患者が感染症を契機に急性に腎炎症候を呈するもので,代表疾患はA群溶連菌感染後に発症する溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal glomerulonephritis:PSAGN)である.PSAGNでは先行感染から腎炎発症まで1~3週間の潜伏期が存在し,腎炎発症時に溶連菌感染は通常治癒している.病初期に乏尿をきたしたのち,浮腫,高血圧が大半の症例でみられる.血液検査所見として血清補体価CH50の低下はほぼ全例にみられ診断的価値が高い.補体成分としてC3が減少しC4は正常であることから副経路を介した活性化が

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