疾患を疑うポイント
●低補体血症.
●先行感染,潜伏期の存在.
●乏尿,血尿,浮腫,高血圧などを急性に発症.
学びのポイント
●AGSの代表疾患はPSAGN.
▼定義
急性に発症する血尿,蛋白尿,高血圧,糸球体ろ過の低下,Naおよび水の貯留をきたす症候群.
▼病態
腎疾患の既往のない患者が感染症を契機に急性に腎炎症候を呈するもので,代表疾患はA群溶連菌感染後に発症する溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal glomerulonephritis:PSAGN)である.PSAGNでは先行感染から腎炎発症まで1~3週間の潜伏期が存在し,腎炎発症時に溶連菌感染は通常治癒している.病初期に乏尿をきたしたのち,浮腫,高血圧が大半の症例でみられる.血液検査所見として血清補体価CH50の低下はほぼ全例にみられ診断的価値が高い.補体成分としてC3が減少しC4は正常であることから副経路を介した活性化が考えられている.補体の低下が一過性である確認が重要で,持続する場合,膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN),ループス腎炎などを鑑別する.血清クレアチニンやBUNの上昇も認めるが通常軽度で短期間で回復する.溶連菌感染の指標である抗ストレプトリジンO(anti-streptolysin O:ASO)や抗ストレプトキナーゼ(anti-streptokinase:ASK)の上昇も診断に役立つ.尿検査では,血尿は必発で肉眼的血尿も約1/3の症例でみられる.蛋白尿もほぼ全例にみられるが通常軽度である.沈渣では変形赤血球,赤血球円柱,顆粒円柱などがみられる.
PSAGN典型例では腎生検は不要だが,腎機能障害が強い場合などに他疾患の鑑別目的で実施される.光顕上糸球体は特徴的な管内増殖像,すなわち白血球の浸潤と内皮細胞やメサンギウム
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