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治療

4 膜性増殖性糸球体腎炎
membranoproliferative glomerulonephritis(MPGN)
中川 直樹
(旭川医科大学講師・循環・呼吸・神経病態内科学)

疾患を疑うポイント

●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうる.

●蛋白尿・血尿を呈し,ネフローゼ症候群を呈することも多い.

●高率に低補体血症を伴う.

学びのポイント

●日本の原発性糸球体疾患(IgA腎症を除く)のなかの約5%,一次性ネフローゼ症候群の約4%に認められる.

●難治性のことが多く,一次性膜性増殖性糸球体腎炎は指定難病の1つ.

●小児から若年層では一次性が多く,成人期以降はC型肝炎などの感染症,自己免疫性疾患,M蛋白血症や骨髄腫,悪性リンパ腫などの血液疾患に伴う二次性が多い.

▼定義

 びまん性全節性にメサンギウム細胞増多や管内細胞増多,細胞外基質の増加により糸球体毛細血管壁(係蹄壁)の分葉構造を特徴とする腎組織障害パターンの1つ(図9-44,45)

▼病態

 糸球体係蹄において,なんらかの原因によって補体系が過剰に活性化された炎症性疾患である.明らかな原因を特定できない一次性(特発性)MPGNと二次性(続発性)MPGNが存在し,後者には自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど),感染症(C型肝炎ウイルス感染症,感染性心内膜炎,マラリアなど),血栓性微小血管症,血液悪性腫瘍(白血病,悪性リンパ腫など)や異常蛋白血症などが基礎疾患として存在する.

▼疫学

 日本腎臓学会による腎生検データベース(J-RBR)では原発性糸球体疾患(IgA腎症を除く)のなかで約5%,一次性ネフローゼ症候群の約4%に認められる.一次性は,8~30歳代の若年層を主とし,それ以降は二次性が主である.

▼分類

 従来,MPGNは電子顕微鏡による高電子密度沈着物の分布により,Ⅰ型(内皮下沈着),Ⅱ型(糸球体基底膜内沈着,dense deposit disease:DDD),Ⅲ型(内皮下および上皮下沈着)と分類されてきた.近年,MPGN病変を主に補体経路(特に補体第二経路)が関与するものと,免疫グロブリンが関与するもの

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