学びのポイント
●良性腎硬化症は,高血圧歴の長い高齢者に好発し,蛋白尿は高度でないことも多い.
●悪性腎硬化症(悪性高血圧症)は,急激な血圧上昇・腎不全を含む臓器障害を伴い,レニン-アンジオテンシン系の亢進によりさらなる血圧上昇の悪循環をきたす疾患.
●コレステロール塞栓症は,一般的な動脈硬化のリスクがある患者に,血管内操作などを施行した場合に生じることが多い.
▼定義
慢性の高血圧が,微小血管,糸球体,尿細管を障害することによって生じる進行性の腎障害のことを指す.高血圧性腎硬化症と同義である.
▼病態・疫学
腎臓は高血圧の原因臓器でもあるが,高血圧の被害臓器でもある.高血圧に曝露された血管の動脈硬化性変化によって,腎実質に虚血性障害が惹起される.病理学的には小葉間動脈~輸入細動脈レベルでの動脈硬化がみられ,糸球体硬化や尿細管萎縮,間質線維化を伴う.したがって高齢の高血圧歴が長い患者の頻度が高い.