疾患を疑うポイント
●皮膚,関節,神経系,腎臓が主な罹患臓器で,紫斑,関節痛,しびれ,浮腫などに注意する.
●C型肝炎に合併することがある.
学びのポイント
●主に細動脈レベルの全身性血管炎.
▼定義
クリオグロブリンは37℃より低い温度で沈殿し,37℃で加温すると再び溶ける性質をもつ免疫グロブリンである.クリオグロブリンが血中に増加した状態をクリオグロブリン血症とよぶ.
▼病態
クリオグロブリンによる血栓症およびクリオグロブリンが血管壁に沈着して補体が活性化されることにより免疫複合体性血管炎が生じる.クリオグロブリンの主要な障害臓器が腎臓である.
▼疫学
臨床症状を伴うクリオグロブリン血症の頻度は約10万人に1人である.しかし無症候性のクリオグロブリン血症はHIV感染者の15~20%,膠原病の15~25%,C型肝炎ウイルス持続陽性患者の40~65%に認められる.
▼分類
クリオグロブリンは免疫グロブリンの組成から以下の3つのタイプに分類される.Ⅰ型:単クローン性免疫グロブリン(10~15%),Ⅱ型:多クローン性IgGと単クローン性IgM(50~60%),Ⅲ型:2種以上の多クローン性IgGと多クローン性IgM(30~40%).
▼診断
現在,診断基準は特に定められたものはないが,血中クリオグロブリンが陽性で下記の臨床症状と組織学的にクリオグロブリンの関与が認められれば診断される.
古くから「Meltzerの三徴」として,触知可能な紫斑,関節痛,筋力低下が知られている.その他,神経や腎臓などが障害され,症状は軽症から重症までさまざまである.症状の頻度として,紫斑70~90%,皮膚潰瘍15~30%,関節炎25~40%,末梢性神経障害30%,腎障害30%程度である.腎障害は血尿・蛋白尿が約50%と最も多く,約20%はネフローゼ症候群,20~30%は急性腎炎症候群を呈する.
検査所見としてCRP上昇
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