診療支援
治療

(1)デント病
Dent disease
野津 寛大
(神戸大学大学院特命教授・小児科学)

学びのポイント

●X染色体連鎖型疾患であるが,男性でも末期腎不全へと進行することは比較的まれで,ほとんどの場合無症状で経過する.

●分子生物学的にDent disease 1,Dent disease 2に分類されるが,臨床像からの鑑別はできない.ただしDent disease 2では軽度の精神発達遅滞や血清CK,LDHなどの上昇を認めることがある.

▼定義

 遺伝子の異常に伴い,近位尿細管における低分子蛋白尿の再吸収が障害されることにより,尿中に多量の低分子蛋白が漏出する遺伝性尿細管機能障害である.

▼疫学

 その頻度は明らかとなっていない.

▼分類・病態

 60~70%がCLCN5遺伝子の変異で発症し,10%がOCRL1遺伝子の異常で発症する.ともにX染色体上に存在する遺伝子である.OCRL1遺伝子の異常により,白内障,精神運動発達障害および腎不全を認めるLowe(ロウ)症候群を発症することが知られているが,一部の患者ではLowe症候群と異なり白内障や重度の精神発達障害を認めず臨床的にDent(デント)病を呈する.CLCN5異常によるDent病患者はDent disease 1,OCRL1異常による患者はDent disease 2と総称されている.

▼症状

 多くは無症状であり,学校検尿で無症候性蛋白尿により発見されることが多い.尿中蛋白は主にβ2ミクログロブリンやα1ミクログロブリンなどの分子量40,000未満の低分子蛋白によって構成される.血尿はほとんどの場合認めず,高カルシウム尿症,腎石灰化を認めることもある.低リン血症,代謝性アシドーシス,アミノ酸尿などのFanconi(ファンコーニ)症候群を呈することもあり,加齢とともに腎機能低下を呈することもある.まれに末期腎不全へと進行することがある.Dent disease 2ではまれに軽度の精神発達遅滞を伴う例が報告されている.

▼診断

 

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