診療支援
治療

5 尿細管性アシドーシス
renal tubular acidosis(RTA)
柴田 茂
(帝京大学教授・内科学)

▼定義

 尿細管性アシドーシスは,先天性あるいは後天性の要因によって尿細管の機能が障害されて代謝性アシドーシスをきたす疾患の総称である.

▼病態

‍ 遠位尿細管性アシドーシス(1型RTA)近位尿細管性アシドーシス(2型RTA)高カリウム血症を呈する4型尿細管性アシドーシス(4型RTA)に大別される.

 腎集合管のα-間在細胞は尿細管腔側にプロトンポンプ(H-ATPase)を,反対側にCl-/HCO3-交換輸送体(AE1)を発現し,これらの分子の働きにより酸の排泄を担っているが(図9-56),この機構が障害されると1型RTAをきたす.主な原因疾患を表9-50に示す.1型RTAでは皮質集合管でのH分泌低下に伴って代償性にKの分泌が促進されるために低カリウム血症を伴う.また高カルシウム尿症や尿中クエン酸排泄の低下に伴い腎石灰化や腎結石を合併しやすい.

‍ 近位尿細管では重炭酸が再吸収されてお

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