疾患を疑うポイント
●明らかな原因がなく,膀胱痛・違和感,尿意切迫感などの過知覚膀胱症状が長期間持続.
●膀胱痛・違和感は蓄尿に伴って悪化し,排尿によって軽快することが多い.
学びのポイント
●Hunner病変(膀胱粘膜のびらん)の有無でHunner型と非Hunner型に分類される.
●診断は,症状の聴取,膀胱粘膜所見の確認,類似疾患の除外診断によって行われる.
●原因不明で,治療は対症療法が中心となる.
▼定義
「膀胱痛,膀胱違和感,頻尿などの過知覚膀胱症状を呈し,膀胱内にHunner(ハンナ)病変または,拡張術後粘膜出血を認める疾患」と定義される.
▼病態
尿路上皮機能不全,炎症,低酸素状態などが病態として考えられているが解明されていない〔本項のトピックス参照〕.
▼疫学
わが国でのICの罹患率は0.004%程度とされているが,諸外国では0.01~2.3%と報告されており,実際にはより多くの患者がいると推測される.
▼分類
膀胱粘膜におけるHunner病変の有無で非Hunner型,Hunner型に分類される.前者では膀胱粘膜全体からの拡張後粘膜出血(図9-60図a,b)を,後者では拡張後にHunner病変からの出血(図9-60図c,d)を認める.また,症状のみで粘膜出血を伴わない場合,過知覚膀胱とすることが提案されている.
▼診断
疾患特異的なマーカーや臨床所見がなく,①膀胱痛,違和感,尿意切迫感,頻尿などの過知覚膀胱症状,②除外診断,③粘膜所見の3点を確認することでICの診断を進める.
▼治療
病態が未解明で対症療法による症状コントロールが治療の主軸となる.現在,エビデンスが確立された治療法はほとんどない.
➊膀胱水圧拡張術,膀胱粘膜焼灼術
機序は不明であるが,膀胱水圧拡張術によりICの症状は改善する.
Hunner型においてはHunner病変を焼灼することで痛みが大幅に改善するが,再発が多く