診療支援
治療

4 前立腺癌
prostate cancer
宮嶋 哲
(東海大学教授・泌尿器科学)

疾患を疑うポイント

●50歳以上で高齢になるほど有病率は増加.

●血清PSA値上昇(4.0ng/mL超).

学びのポイント

●わが国での罹患数は年々増加傾向にあり,2016年将来予測で男性がん罹患率1位と推定されている.

●男性ホルモンの刺激によって前立腺癌は増殖する.

▼定義

 前立腺に発生する腺癌で,血清PSA高値にて発見されることが多く,前立腺針生検によって病理組織学的に診断される.

▼病態

‍ 男性ホルモンの刺激によって癌は増殖することから,治療にはアンドロゲン除去療法(生化学的去勢,androgen deprivation therapy:ADT)が用いられることが多いが,臨床病期によって治療方針は異なる.限局性前立腺癌,局所浸潤性前立腺癌,転移性前立腺癌と大別され,外科的手術,放射線治療,ADTを中心とした薬物療法と治療方針は多様である.ADTに不応性の去勢抵抗性を獲得すると治療に難渋する.去勢抵抗性前立腺癌に対しては,抗がん化学療法やアンドロゲン受容体標的薬を使用する.

▼疫学

 2016年の短期予測では罹患数は年間92,600人(第1位),死亡数は年間12,300人(第6位)と予測されている.

▼診断

 血清PSA(正常4.0ng/mL以下)によりスクリーニングを行い,異常値であれば,精査に進む.

 経直腸的超音波検査(transrectal ultrasonography:TRUS)下(経直腸的または経会陰的)前立腺針生検により病理組織学的診断へ至る.前立腺針生検は10~12か所の系統的ランダム生検が標準的であるが,MRIなどで癌病変が明らかな場合はターゲット生検の適応になる.

 直腸診(digital rectal examination:DRE)により硬結を触知するなどの所見を認める症例は半数以下とされている.

▼病期診断

 DRE,TRUS,PSAだけで局所の程度(T分類)を評価する

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?