診療支援
治療

5 放射線腎炎
radiation nephritis
鈴木 健弘
(東北大学大学院医工学研究科特任准教授)
阿部 高明
(東北大学大学院教授・病態液性制御学)

▼定義

 腹腔内臓器や後腹膜臓器の腫瘍の治療を目的とした大量放射線療法によって発生する腎症.腎機能低下,高血圧,蛋白尿などが認められる.

▼病態

 腎臓はほかの臓器より放射線の感受性が高く,腎障害は腎組織の炎症と変性をきたす.通常成人では1か月に20~30グレイの放射線照射が加わった場合,約50%に発症するとされる.放射線障害に対する感受性は個体差があり,また年齢が若いほど感受性が高くなるため,小児においては特に注意が必要である.放射線療法と併用される化学療法で用いられるドキソルビシンやブレオマイシンなどの抗癌剤も腎毒性を増強する.近年は腎臓への照射防御により以前より重篤な放射線性腎症が減少している.

急性放射線腎炎

 20グレイ以上の高用量の放射線照射を受けたのち,6~12か月後に発症する.

 高血圧が最初の徴候で加重型重症高血圧症(悪性高血圧症)や心不全を合併することもある.浮腫,頭痛,労作時呼

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