診療支援
治療

(1)ワレンベルク症候群
Wallenberg syndrome
坂本 悠記
(日本医科大学・脳神経内科)
木村 和美
(日本医科大学大学院教授・脳神経内科)

疾患を疑うポイント

●動脈硬化リスクをもつ中高年者に突然発症した,Horner症候群,交代性温痛覚障害,球麻痺.錐体路症候は認めない.または,動脈硬化リスクのない若年者に外傷や頸部の過伸展を伴うような運動を契機に生じた後頸部痛と上記症候.

学びのポイント

●主に脳梗塞によって生じ,病巣が小さいにもかかわらず多彩な神経症候を呈しうる.個々の症例における症候の理解,また軽微な症候や非典型的な症候で来院した患者を的確に診断するには延髄外側の機能解剖の理解が必要.

●嚥下障害などの症状はその後の患者のQOLを著しく低下させる可能性がある.椎骨動脈や後下小脳動脈の動脈解離を契機として若年者に発症することもあるため,本症候群をきちんと知っておく必要がある.

▼定義

 延髄外側障害により構音障害,嗄声,嚥下障害などの球症状,病巣側のHorner(ホルネル)症候群,運動失調,顔面温痛覚障害,および対側の体幹・上下肢の

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