疾患を疑うポイント
●脳卒中のなかで最も多い.
●突然,運動片麻痺,言語障害,視野障害,感覚障害で発症することが多い.
学びのポイント
●脳梗塞の本態は脳動脈が閉塞することにより脳組織が虚血に陥ることであり,心原性脳塞栓症,アテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,その他の脳梗塞に分類される.
●発症4.5時間以内はアルテプラーゼ薬による血栓溶解療法,脳主幹動脈閉塞例では発症24時間以内はカテーテルによる局所血栓回収療法の適応を考慮する.
●脳梗塞再発予防は高血圧をはじめとした内科的危険因子の管理と抗血栓療法からなり,心原性脳塞栓症では抗凝固薬,非心原性脳梗塞では抗血小板薬を選択.
▼定義
脳動脈が急性または慢性に閉塞することにより脳組織が虚血に陥ることによる壊死であり,発生箇所によりさまざまな神経症状を呈する.脳動脈にアテローム硬化など器質的な変化があり同部位に血栓が形成,動脈が閉塞する場合(血栓性)と心臓,大動脈などに存在する血栓が飛来して脳動脈に栓塞,その灌流領域に梗塞を発生する場合(塞栓性)がある.心原性脳塞栓症,アテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,その他の脳梗塞に分類される.
▼病態
脳動脈の閉塞機転により血栓性,血行力学性と塞栓性に大きく大別される(図10-9図).
塞栓性の最も代表的なものは心原性脳塞栓症である.非弁膜症性心房細動をはじめとした心疾患により心腔内に形成された血栓が遊離し血流の流れにのって脳動脈へ飛来,栓子となって血管を閉塞する場合である.
脳へ灌流する主幹動脈にアテローム硬化があり同部位のプラークが破綻,同部位での血管閉塞に伴う同血管の灌流領域に梗塞を生じる場合は血栓性の代表的なものの1つである.頭蓋内脳動脈病変によって発症する脳梗塞の多くものはこのメカニズムによって発症する.しかし頭蓋外主幹脳動脈,例えば頸動脈分岐部のアテローム硬化に伴って脳梗塞が発症する場合は,
関連リンク
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