疾患を疑うポイント
●高音領域の聴力低下
●突発性難聴
●めまい
●若年者の一側難聴や耳鳴
▼定義
軸索を取り囲む髄鞘は脳・脊髄では乏突起膠細胞,末梢神経ではSchwann(シュワン)細胞によって構成される.Schwann細胞から発生した良性腫瘍が神経鞘腫.
▼病態
神経鞘腫の発生部位は前庭神経(85%),三叉神経(5%前後),頸静脈孔神経(舌咽・迷走・副神経)が多い.
前庭神経鞘腫は聴神経腫瘍ともいわれ,内耳道底の前庭神経から発生する.内耳道を充満し,脳槽(小脳橋角部)に突出するようになり,やがて小脳脳幹を圧迫する.初発症状は蝸牛神経障害(耳鳴や聴力低下)が多い.聴力は高音域が障害されやすい.腫瘍が増大すると顔面神経麻痺,顔面の知覚低下(三叉神経症状),嚥下・構音障害(舌咽・迷走神経症状)を呈する.前庭神経の腫瘍だが,前庭神経症状を主訴とすることはまれで,これは対側前庭神経による代償のためと考えられ