疾患を疑うポイント
●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうるが,中高年以降に多い.
●潜在性に発症し,緩徐に進行する.
▼定義
慢性進行性の小脳性運動失調を中核症状とする一群の優性遺伝性神経変性疾患の総称.病理学的には脊髄と小脳を中心とした系統変性をきたすものが多いが,病変の程度や分布は疾患により異なる.本疾患群は長らく原因不明の変性疾患として分類され,悪性腫瘍,代謝異常,栄養障害,中毒,免疫異常などに伴う小脳変性症とは区別されてきた.近年に至って分子遺伝学的な研究が進み,起因遺伝子の解明されたhSCAが増えている.
▼病態
わが国で頻度の高いhSCAとして,脊髄小脳失調症1型(spinocerebellar ataxia type 1:SCA1),SCA2,Machado-Joseph(マシャド-ジョセフ)病(MJD),歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubral-pallidol