診療支援
治療

【3】痙性対麻痺
spastic paraplegia
矢部 一郎
(北海道大学大学院准教授・神経内科学)

▼定義

 緩徐進行性の下肢痙縮を主徴とする遺伝性神経変性疾患群の総称である.痙縮のみを主な徴候とするものをpure familial spastic paraplegia(pure FSP)として,付帯徴候を伴うものをcomplicated FSP(複合型痙性対麻痺)として区別する.起因遺伝子の解明されたFSPが増えている.

▼病態

 FSPは近年の分子遺伝学的研究の進歩にあわせて再分類され,現在データベース上には痙性対麻痺(spastic paraplegia:SPG)を主症状とする疾患が登録されている.すでに80疾患以上の存在が知られるに至っているが,そのうち優性遺伝性FSP(AD-FSP)に分類されるspastin遺伝子変異に起因するSPG4の頻度が約15~40%を占め,最も多いものと推定されている.劣性遺伝性FSP(AR-FSP)も存在する.

 SPG4はわが国も含め世界中で最も頻度の高い

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