診療支援
治療

3 ペリツェウス-メルツバッハー病
Pelizaeus-Merzbacher disease
中川 正法
(京都府立医科大学附属北部医療センター・病院長)

疾患を疑うポイント

●乳児期に眼振と頭部振戦,けいれん,筋緊張の異常,痙性麻痺が出現.

学びのポイント

●乳児期の白質変性症の鑑別疾患の1つ.

▼定義

 中枢神経系のミエリン形成異常による遺伝性脱髄疾患.先天性大脳白質形成不全症の代表的疾患である.X連鎖性劣性遺伝であり,患者は例外を除き男児のみである.

▼病態

 PMDの大多数の患者に,プロテオリピド蛋白1(proteolipid protein 1:PLP1)の遺伝子異常が認められる.PMD類似疾患(PMD like disease:PMLD)があり,その原因としてGJC2/GJA12HSP60Hyccin GJC2TUBB4AMBPSLC16A2HSPD1SLC17A5POLR3BFAM126APOLR3ASOX10などの遺伝子異常が報告されている.PLP1遺伝子の異常がない例もあり,PLP1遺伝子以外の原因遺伝子の存在が示唆されている.中枢神経系白質の髄鞘が低下・消失し,残存した髄鞘が虎斑状のtigroid像を呈することを特徴とする.乳児期に出現する眼振と頭部の振戦を特徴とし,けいれんや筋緊張の異常,痙性麻痺などが現れる.

▼疫学

 欧米での頻度は1人/20万~50万人出生と報告されている.日本での患者数は約100例程度である.

▼診断

 以下の先天性大脳白質形成不全症との鑑別が必要である.①Pelizaeus-Merzbacher(ペリツェウス-メルツバッハー)様病1,②基底核および小脳萎縮を伴う髄鞘形成不全症,③18q欠失症候群,④Allan-Herndon-Dudley(アラン-ハーンドン-ダドリー)症候群,⑤Hsp60シャペロン(chaperone)病,⑥Salla(サラ)病,⑦小脳萎縮と脳梁低形成を伴うびまん性大脳白質形成不全症,⑧先天性白内障を伴う髄鞘形成不全症,⑨失調,歯牙低形成を伴う髄鞘形成不全症,⑩

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?