学びのポイント
●顔面神経は顔面の筋肉を支配し顔のさまざまな表情を形づくる.
●顔面神経はこれらの表情筋以外にもアブミ骨筋への分枝がある.
●孤束核,上唾液核からの自律神経,舌前方2/3の味覚の感覚神経は顔面神経と並走する.
▼定義
片側の顔面神経に起こる末梢性の障害をBell(ベル)麻痺と呼ぶ.Bellは最初に報告した神経学者Charles Bellに由来する.
▼病態
単純ヘルペスウイルス1型の再活性化によるものとされている.病理像は神経浮腫,炎症細胞浸潤,脱髄性変化などが混在しているとされる.
▼疫学
発症率は10万人あたり20~30人とされる.性差,年齢による発症率の差はない.一般的には片側性であるが,まれに両側性がみられる.糖尿病,妊婦では発症しやすいとされる.
▼分類
重症度の分類として柳原法が広く用いられる.10項目をおのおの3段階評価(ほぼ正常4点,部分麻痺2点,完全麻痺0点)で評価する