▼定義
頭痛を繰り返す疾患で,発作は4~72時間持続する.片側性,拍動性の頭痛で,中等度~重度の強さである.ただし,半数以上の片頭痛患者が両側性の頭痛を経験している.日常的な動作により頭痛が増悪する.随伴症状として悪心や光過敏,音過敏を伴う.前兆の有無により前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛などに分類されている(表10-53図).前兆は5~60分持続する,片側性完全可逆性の視覚症状,感覚症状またはその他の中枢神経症状からなる.
▼病態
片頭痛の疼痛は,脳硬膜における三叉神経血管系の神経原性炎症が本態と考えられている.すなわち,なんらかの刺激により三叉神経終末よりカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)をはじめとする炎症性ペプチドや発痛物質が放出され,血管の拡張と三叉神経系の感作現象が起こる(図10-93図).閃輝暗点などの前兆は大脳における皮質拡延性抑制が本態である.
▼疫学
わが国の年間片頭痛有病率は8.4%で,前兆のある片頭痛2.6%,前兆のない片頭痛5.8%.片頭痛の有病率は20~40歳代の女性で高い.
▼分類
国際頭痛分類第3版に従う(表10-53図).
▼診断
国際頭痛分類第3版の診断基準にそって診断する.前兆のない片頭痛の診断基準については表10-54図,前兆のある片頭痛の診断基準については表10-55図を示した.
▼治療
片頭痛発作時(急性期)の治療は,薬物療法が中心である.治療薬にはアセトアミノフェン薬薬薬,NSAIDs,エルゴタミン,トリプタンなどがある.軽度~中等度の頭痛にはアスピリン薬,ナプロキセン薬,ロキソプロフェン薬などの鎮痛薬,NSAIDsを使用する.中等度~重度の頭痛および軽度~中等度の頭痛でも過去にNSAIDsの効果がなかった場合はトリプタン(スマトリプタン薬,ゾルミトリプタン薬,エレト
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/アセトアミノフェン(パラセタモール)《カロナール》
- 治療薬マニュアル2024/アセトアミノフェン《アセリオ》
- 治療薬マニュアル2024/アセトアミノフェン《アンヒバ アルピニー》
- 治療薬マニュアル2024/アスピリン(アセチルサリチル酸)《アスピリン》
- 治療薬マニュアル2024/ナプロキセン《ナイキサン》
- 治療薬マニュアル2024/ロキソプロフェンナトリウム水和物《ロキソニン ロキソプロフェンナトリウム》
- 治療薬マニュアル2024/スマトリプタン《イミグラン》
- 治療薬マニュアル2024/ゾルミトリプタン《ゾーミッグ》
- 治療薬マニュアル2024/エレトリプタン臭化水素酸塩《レルパックス》
- 治療薬マニュアル2024/ドンペリドン《ナウゼリン》
- 治療薬マニュアル2024/メトクロプラミド《プリンペラン》
- 治療薬マニュアル2024/トピラマート《トピナ》
- 新臨床内科学 第10版/2 緊張型頭痛
- 今日の治療指針2023年版/片頭痛
- 新臨床内科学 第10版/3 群発頭痛
- 今日の治療指針2023年版/緊張型頭痛
- 今日の診断指針 第8版/片頭痛
- 今日の治療指針2023年版/薬物誘発性頭痛
- 今日の小児治療指針 第17版/頭痛(一次性頭痛,二次性頭痛)
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/1 頭痛
- 今日の診断指針 第8版/三叉神経・自律神経性頭痛