診療支援
治療

3 特発性正常圧水頭症
idiopathic normal pressure hydrocephalus(iNPH)
數井 裕光
(高知大学教授・精神医学)

疾患を疑うポイント

●高齢者において,先行疾患なく,歩行障害,認知障害,排尿障害の三徴が緩徐に進行し,頭部MRIやCTで,著明な脳室拡大を認める.

学びのポイント

●「治療可能で」「発見しやすく」「高頻度」であるため重要な疾患である.

●三徴と頭部MRI,CTでの脳室拡大所見で疑う.CSFの圧と性状は正常である.

●VPシャント術かLPシャント術で治療するのが一般的であるが,効果は同等である.

●脳室拡大に加えてSylvius裂の開大と高位円蓋部/正中部の脳溝の狭小化を認めるiNPHを「不均衡にくも膜下腔が拡大している水頭症(disproportionately enlarged subarachnoid space hydrocephalus:DESH)」とよぶが,DESHはiNPHの中核群であると考えられ,かつシャント術の効果が高い.

▼病態

 くも膜下出血,髄膜炎などの先行疾患なく,脳脊髄液(cer

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