疾患を疑うポイント
●高齢者において,先行疾患なく,歩行障害,認知障害,排尿障害の三徴が緩徐に進行し,頭部MRIやCTで,著明な脳室拡大を認める.
学びのポイント
●「治療可能で」「発見しやすく」「高頻度」であるため重要な疾患である.
●三徴と頭部MRI,CTでの脳室拡大所見で疑う.CSFの圧と性状は正常である.
●VPシャント術かLPシャント術で治療するのが一般的であるが,効果は同等である.
●脳室拡大に加えてSylvius裂の開大と高位円蓋部/正中部の脳溝の狭小化を認めるiNPHを「不均衡にくも膜下腔が拡大している水頭症(disproportionately enlarged subarachnoid space hydrocephalus:DESH)」とよぶが,DESHはiNPHの中核群であると考えられ,かつシャント術の効果が高い.
▼病態
くも膜下出血,髄膜炎などの先行疾患なく,脳脊髄液(cer