▼定義・病態
von Recklinghausen(フォン・レックリングハウゼン)病は,原因遺伝子NF1遺伝子の異常の結果,それがつくる蛋白,ニューロフィブロミン(neurofibromin)が異常をきたし,下流のRas-MAPKおよびPI3K-Akt-mTORの系が恒常的に活性化することにより細胞増殖,細胞死の抑制が起こり全身に神経線維腫をつくる(図10-105図).NF1遺伝子は腫瘍抑制遺伝子であり,病変部ではLOH(loss of heterozygosity)が起こっているが,通常Schwann(シュワン)細胞のNF1のLOHだけでは腫瘍が生じず,肥満細胞(mast cell)や線維芽細胞(fibroblast)など腫瘍周辺の微小環境が重要である.
臨床的には皮膚症状としてカフェオレ斑,神経線維腫(図10-106図)をはじめとして,小Recklinghausen斑,時に巨大色素斑を