疾患を疑うポイント
●4~10歳に発症し,10秒前後の意識消失をきたす発作.けいれんや転倒はなく,動作停止が主症状.
学びのポイント
●欠神発作は特発性全般てんかんでみられる発作の1つである.小児欠神てんかんは,欠神発作をきたす代表的なてんかん症候群である.
▼定義
4~10歳に発症し,定型欠神発作を主症状とする.脳波では全般性3Hz棘徐波複合を呈する.かつては,欠神発作は小発作(petit mal〈仏〉,プチマル),欠神てんかんはpiknolepsyと記載されていた.
▼病態
特発性全般てんかんに分類され,通常は欠神発作以外に特定の症状はない.発達は正常である.しかし,一部の例では行動障害,学業成績不振などがみられることがある.
▼疫学
頻度は正確には不明であるが,小児てんかんの2~10%程度と考えられている.欠神てんかんは女児に多いことが知られている.
▼診断
定型欠神発作は,4~20秒(多くは15秒以下)の持続時間の意識消失をきたすものである.発作は,突然行動を停止し,開眼し虚空を凝視する.発作終了とともに,それまでの行動を続ける.患児を注意して観察すれば欠神発作の診断は困難ではないが,発作がかなり頻発している状態を注意散漫などと見間違われることもありうる.
脳波は,発作間欠期および発作時には全般性3Hz棘徐波複合を呈する(図10-111図).3Hz棘徐波複合は,特に過呼吸負荷で誘発される.脳波検査はかざぐるまを吹かせるなどの工夫が必要である.欠神発作での過呼吸負荷脳波でのてんかん放電検出率は90%を超えるとされており,感度が高い.頭部MRIでは異常を認めない.
短時間の意識障害をきたすてんかん発作としては,欠神発作と意識減損焦点発作(複雑部分発作)との鑑別が重要である.鑑別点を表10-66図に示した.